NTTエレクトロニクス コーデック製品 北京五輪採用事例
第1回:国内放送局様向けの北京五輪テレビ中継 素材伝送に採用
2008年11月28日

日本での北京五輪テレビ中継映像の素材伝送(IBC経由)の大部分にNTTエレクトロニクスのMPEG-2 エンコーダ/デコーダが採用

TV放送史上最多の視聴者数

2008年8月に開催された北京五輪は、史上最多の204の国と地域が参加し、28競技、37会場で、一万人以上の選手による熱戦が繰り広げられました。Nielsen社の調査によると、北京五輪のTV放送は世界中で47億人の視聴者を獲得し、TV放送史上最も多くの人に視聴されたイベントとなりました。

HDTV時代のハイエンドコーデック

今回の五輪中継の主要なキーワードの一つが、ハイビジョン(HDTV)です。北京五輪は、五輪史上初めて国際映像信号がすべてハイビジョン(1080i/50)、5.1サラウンドで制作された記念すべき大会となりました。

世界的なスポーツイベント中継で多くの実績があるNTTエレクトロニクスのコーデック装置も、北京五輪で数多く使用されました。具体的には、MPEG-2 HDTV対応 エンコーダ/デコーダ「H3100シリーズ」および「H5100シリーズ」、AVC/H.264 HDTV対応 エンコーダ/デコーダ「HV9100シリーズ」が、北京にあるIBC(注1)から各国へ素材伝送する際に使用されました。また、MPEG-2 HDTV対応エンコーダ「HE5000」が、1Uハーフラックサイズで軽量(3kg)という携帯性の良さを生かして、バイクやヘリコプターに搭載され、マラソンや競歩の様子を中継する際に使用されました。

日本、韓国、欧州、北米、南米へ素材伝送

NTTエレクトロニクスのコーデック装置は、日本、韓国、欧州、北米、南米への素材伝送に使用されました。今後何回かに分けて、NTTエレクトロニクス製品の北京五輪での採用事例について紹介していきます。

第1回目となるこのページでは、日本向けの素材伝送での採用事例についてご紹介致します。

写真「国際放送センター内部に設置されたNTTエレクトロニクスのコーデック製品」IBC(国際放送センター)内部に多数設置された「HE3100エンコーダ」および「HE5100エンコーダ」。日本で放送された北京五輪中継映像の多くは、ここを通過して北京から日本へ伝送されました。

北京から東京へ。国内放送局様向けの素材伝送を担う

IBCから日本への素材伝送を担う

北京ほか7都市にまたがる37会場でBOB(注2)によって撮影された映像は、40以上のチャンネルで北京のIBCに送られました。IBC内部にある各国の放送局のブースでは、送られてきた映像(国際映像)に各局独自の解説などを付けます。日本で放送された北京五輪中継映像の多くも、ここから東京へ伝送されました。

素材伝送用エンコーダとして「HE3100」「HE5100」が採用

日本への素材伝送の際に、素材伝送用エンコーダとしてMPEG-2 HDTV対応エンコーダ「HE3100」および「HE5000」が使用されました。(2006年のトリノ冬季五輪の際にも「HE3100」が採用されています)「HE5100」による4:2:2高ビットレートの高画質映像は、KDDIが提供している中日間の海底光ファイバーケーブルを利用して伝送され、日本国内のキー局、地方局を経由して視聴者に届けられました。

図「北京五輪の中継映像が、北京IBCから日本へ伝送されるときの流れ。まず、競技映像の撮影・中継を担当するBOB(北京五輪放送機構)によって撮影されたHDTV規格の国際映像が、北京のIBC(国際放送センター)に送られます。このとき、マラソンや自転車競技の映像の伝送にNTTエレクトロニクスの「H5000シリーズ」が採用されました。次に、国際映像に各放送局独自の情報がIBCで付加された映像が、KDDIの光海底ケーブルを利用して東京へ伝送され、そこから日本国内のキー局、地方局を経由して視聴者に届けられました。北京IBCから東京への素材伝送にNTTエレクトロニクスの「H3100シリーズ」「H5100シリーズ」が採用されました」
北京五輪中継映像の、北京IBCから日本への流れ

写真「世界各国の放送局のブースが入ったIBC(国際放送センター)の外観」世界各国の放送局のブースが入ったIBCの建物。世界中から中継車約60台、ハイビジョンカメラ約1,000台が投入され、7都市、37会場から競技映像がここに送られました。

DVB-S2/H.264システムを利用したTBSの北京五輪HD SNG中継で NTTエレクトロニクスのAVC/H.264エンコーダ/デコーダが採用

世界初、36MHz幅の衛星中継器の4分の1の帯域でHDTV伝送を実現

東京放送様(以下TBS、本社:東京都港区)の北京五輪HD SNG中継に、AVC/H.264 HDTV対応 エンコーダ/デコーダ「HV9100シリーズ」が使用されました。今回のHD SNG中継は変調方式DVB-S2(注3)とAVC/H.264を組み合わせたシステム(以下、S2/H.264システム)で、TSレートは22.785Mbps、36MHz幅の衛星中継器の4分の1の帯域でのHDTV伝送を実現したのは世界で初めてとなります。

S2/H.264システムを使ったTBSの北京五輪SNG中継は、国際映像のほか野球、サッカー、バレーボール、柔道など日本選手が出場する各種競 技や北京市内の様子を伝えるTBSの顔出し中継、ユニ取材(各社独自の取材)の映像伝送用として運用されました。TBSをキー局とするJNN系列(全28局)では、HV9100シリーズを利用したS2/H.264システムのHD SNGの本運用を2008年12月から開始する予定です。


用語の説明

注1
IBC
International Broadcast Centerの略。五輪やFIFAワールドカップ™などの国際大会開催時に設置される国際放送センター。世界各国の放送局のスタッフと機材が大会期間中IBCに入居し、視聴者に向けた中継映像の大部分がIBCで作られました。(本文へ戻る
注2
BOB
Beijing Olympic Broadcasting Co. Ltd.の略。選手の競技の様子などをカメラに収め、北京五輪の国際映像を制作する部門です。(本文へ戻る
注3
DVB-S2
Digital Video Broadcasting - Satellite - Second Generationの略。従来のデジタル衛星放送規格DVB-Sの後継規格であるDVB-S2は、DVB-Sと比較して伝送容量が約30%向上しています。(本文へ戻る

デジタル映像システム製品に関するお問い合わせ

営業本部 映像コンポーネント営業部
お問い合わせフォームを新しいウィンドウで開きますお問い合わせフォーム

ニュース

ページの先頭へ