Tech Info

Coherent Everywhere!
2021年2月9日

今年からNTTエレクトロニクスについて知ってもらうための[Tech Info]を開始します。私たちが提供する製品をより理解していただくために、製品開発の背景、将来の方向性等のカタログでは説明しきれない内容を発信していこうと思います。まず第一回目はデジタルコヒーレント光通信の市場の動向、技術の動向について紹介します。

Coherent Everywhere!

Industry considers expanding coherent from long-haul to short reach networks

By Atul Srivastava

インターネットで誰もが動画を楽しみ、社会インフラとして便利に利用するようになってきています。リモートワークを行う生活への急激な変化もこの通信インフラによって支えられています。このため、通信キャリアやデータセンターのネットワークインフラは爆発的なトラフィックの増大に対応する必要があります。デジタルコヒーレント光通信システムは、この通信インフラを支えています。現在では、100~600Gbpsのデータレートで、ファイバーあたり10~20Tbpsの光通信システムが開発され世界中を結んでいます。デジタルコヒーレント技術は長距離の通信だけではなく、スイッチASICのI/Oデータレートが高速化した大規模データセンターへの適用の検討がなされています※1。高密度集積されたフォトニックデバイスと次世代CMOSベースのDSP技術が、大規模データセンター間接続のための400Gbps~600GbpsのWDMインターコネクト実現可能にします。大規模データセンターのスイッチに適用する400Gbps光モジュール(400G ZR)は、Optical Internetworking Forum(OIF)で標準化されています。400G ZRのトランシーバーモジュールは、12.8Tbps以上の容量を持つ次世代データセンタースイッチASICのための小型トランシーバーモジュールOSFPおよびQSFP-DDに適用できるように設計されています。
OpenZR+ MSAでは、大規模データセンター間に適用する同じトランシーバーモジュールをより長い距離、例えばメトロエリアや長距離に適用できるように、OpenROADM MSAで標準化された、高い誤り訂正能力持つoFECを適用することを発表しました。OpenZR+は、ネットワークオペレータに対して、相互接続可能なトランシーバーモジュールを、400Gbpsではメトロエリアをカバーする1,000km以上に、200Gbspでは2,500km以上の長距離への適用も可能にします※2
次に次世代イーサネットについて説明します。800Gbpsトランシーバーモジュールとして、ZRや2~10kmのアプリケーションの検討が開始されました。 2~10kmでは従来のPAM4技術を使用することについても議論されていますが、伝送性能と消費電力に課題があります。デジタルコヒーレント技術は、これらのリンクに対しても十分な性能を実現することができます。800Gbpsのイーサネットは、今後の市場と技術の進展もとに適用技術の検討が進むと考えられます。さらに高いデータレートの1.6Tbpsの場合、デジタルコヒーレント技術が唯一のソリューションのようです。800Gbp以上のデータレートでは、デジタルコヒーレント技術がデータセンター内のショートリーチのリンクの大量の光トランシーバーモジュールにも適用されていくかもしれません。

【図1】データセンタースイッチのトランシーバーのポート当たりの容量とスイッチブレード当たりのトランシーバーポート数

図1では、データセンターのスイッチのASIC容量の増加に対して、スイッチのブレードあたりの容量と接続するトランシーバーモジュールのポート数の関係を示しています。スイッチのASIC容量の増加に対応するには、トランシーバーのデータレートとブレードあたりのポート数の両方を増やす必要があります。これまで、ボーレートの高速化、高度な変調フォーマットを用いることによって、データレートを高速化およびトランシーバーモジュールのサイズを小型化してきました。
現在、200Gb/sをサポートするCFP2トランシーバー※3が市販されています。これは、ブレードあたり8つのCFP2トランシーバーを想定すると、図1の1.6Tbps/ブレードに相当します。現在ではASICの容量は12.8Tbpsを超えようとしていますので、トランシーバモジュールのサイズをさらに小型、低消費電力にする必要があります。一般に、モジュールのサイズは光部品の集積レベルによって決定され、消費電力はDSPなどの電子デバイスの電力が支配的になります※4。このため、より高度に集積された新しい光デバイス技術や、大容量なブレードを十分に冷却するためにDSPの消費電力を削減する技術が必要となります。
次回の[Tech Info]では、通信キャリアやデータセンターネットワークに適用するためのスモールフォームファクターのトランシーバーモジュールを実現するための技術を紹介します。特にキーとなる二つの技術のコヒーレントDSP技術および、シリコンフォトニクス技術を適用したコヒーレントサブアセンブリ(COSA)の概要について紹介する予定です。

参考文献

※1
Brad Booth, "Consortium for On-Board Optics: 100G/400G/800G Optics," Market Focus Presentation (2018).
※2
http://openzrplus.org/documents/ Whitepaper: "OpenZR+ 400G Digital Coherent Optics for Multi-Haul"
※3
http://www.oiforum.com/wp-content/uploads/OIF-CFP2-ACO-01.0.pdf
※4
A. Srivastava and H. Onaka, "Coherent Technologies Revolutionize Fiber Optic Communication," in Proc. Photonics, (2018).

製品紹介・Tech Info

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